三枝匡氏著”経営パワーの危機”を読んで

現スミスグループ会長である三枝匡氏が15年ほど前に出版した、日本に改革を推進できる経営者が枯渇しており、どのように次世代を担うリーダーを育成したら良いかを示した非常に読みやすい良書である。

実話に基づいて、解りやすくケーススタディを解説している。
高度成長期までは、多くの企業の起業や成長とともに、必然的に育成され結果を出してきた。しかし、バブル崩壊後は、大手企業を中心に保身に走り、経営者が後進にポジションを譲ることなく、若手にチャンスを与えないために、変革への活力を失っている。
欧米では、大手企業でも30代、40代の経営者が当たり前なのに、日本では、60,70代が普通である。経営層だけでなく、部長、課長のミドル層も若手が抜擢されることが少なくなってきているように思う。
若さがすべてではないが、若手にチャンスを与えない社会は、閉塞感が漂う。
企業も政治も、マスコミも社会全体が保守的で古臭さは否めない。
新聞やTVでも、大震災後の新しい日本をあり方を斬新提言することはない。
菅総理が、浜岡原発停止の英断をしても(唐突感はあるが)、地元の市長が補助金欲しさに非難する始末。この市長は、市民の生命を守る気はないのか。福島原発の惨状を見ても危機感はないのか。
未来の日本の方向は、その時を生きる今の若手に委ねるべきと思う。