ヒトラーの贋札

外国映画部門のアカデミー賞を受賞したので、4年くらい前に映画館で見た。期待外れだった記憶がある。NHK BSプレミアムで放送していたので改めて見直した。


GOOの映画解説では、
”「ナチスによるユダヤ人収容所もの」はたびたび映画化されているが、本作は一般にはあまり知られていない、紙幣偽造作戦に携わっていたユダヤ人技術者たちを描いた異色作だ。苛酷な環境下に置かれ、死がそこまで迫っている一般収容所に比べ、この秘密工場での待遇は破格といえるほどいい。しかしその裏には、死んでいく家族や同胞がいる。ナチスへの協力の負い目と、「生きたい」という思いの矛盾の中で、男たちはさまざまな行動をとる。孤高の犯罪者が仲間を救うために完璧な贋札を作ろうとする一方、正義感から仲間を危険な目に陥れてしまう技師もいる。究極の選択を迫られる人間たちを描き、自分ならどうするかを観客に考えさせる作品だ。”である。

今見たら別なことを考えた。リーマンショック後だからかもしれない。
この映画では、ナチスが偽ドルを大量に発行して、米国経済を混乱に陥れるために、ユダヤ人捕虜を使って贋札を作らせようとして、命を懸けたユダヤ人のサボタージュ終戦になり失敗してしまったことになっている。しかし、第二次世界大戦金本位制をやめたドルに、この映画描いている時代の価値はない。FRBがじゃぶじゃぶドル紙幣を発行し、実体経済を金融資本が大きく上回っている現状では、贋札が10%や20%ぐらい流通しても関係ないような気がする。今だったら命を懸けてまで贋札の流通を阻止する価値はない。
そういう意味で、お金の価値の変化について考えさせられた映画ではあった。