SUNがオラクルに正式買収される

ついに、SUN Micro Systems がオラクルに正式に買収されました。

一般に人には、全く興味のない話題ですが、コンピュータ業界で育ってきた人間としては、多少感慨深いものがあります。
いまから20年以上前に、米国サンノゼ(そのころはシリコンバレーとは呼ばれていなかった)で、仕事をしていたときに、SUNの工場を訪問する機会があり、最新鋭のワークステーションSUN2の組み立てラインを見学しました。
生産ラインそのものはたいしたことはなかったのですが、UNIX(4.2BSD)ベースのSUN-OSやX-WINDOWSのグラフィカルな動きを見て感激したことを懐かしく思います。そのころは、機械設計や回路設計、各種研究用で使われ、エンジニアリング専用として販売されていました。
メインフレームの巨人IBM、ミニコンで勢力を伸ばしてきたDECを、新しい概念のワークステーション(一人一台のコンピュータ環境を実現)で、急追しようとしていました。結局、ワークステーションメーカで残ったのは、SUNとHPだけで、その後急速に普及したPCにより、ワークステーションのジャンルはなくなり、SUNはサーバーベンダーとして生き残ります。
HPは、PCメーカーやDECを吸収して、PCからサーバー、ネットワーク機器まで販売する総合ハード機器メーカーとして存在価値を出していますが、SUNは、設立当初からのこだわりがあるのか、技術力はあるのですがビジネスは上手くないし、HPほどの我武者羅さがなかったように気がします。サーバービジネスは、DELLなどのPCメーカーに侵食され、SUN−OSはオープンソースLINUXの押され、最近は全く存在価値が見えませんでした。

しかし、SUNの今日のインターネットの発展に寄与してきた功績は、非常に大きいと思います。
UNIXベースのワークステーションの開発と成功がなかったなら、TCP/IPプロトコルのLANやインターネットがこんなに世の中に浸透することはなかったからです。それまでは、各メーカ独自のプロトコルのネットワーク(IBMのSNAやDECnet)存在しており、相互接続がほとんどできませんでした。
UNIXTCP/IPが普及なくしてインターネットの発展はなかったと思います。

ラクルのSUNとほぼ同時に起業されました。斬新なリレーショナルデータベース(RDB)の専門メーカでした。メーカに依存しないデータベースとしては画期的でした。最初は、パフォーマンスが最悪で全く使い物になりませんでしたが、SUNと組み合わせると、メインフレームで何億円も掛け専門家がないとできなかった大規模なデータベースシステムが、その1/10予算で簡単に実現できたのは驚きでした。今では、子供でもSQLを使って簡単に、データベースシステムがPC上で構築できます。

IBM、SUN、オラクル。。それに、MicroSoft,AppleGoogle、米国のIT企業はすごいね。独創的なアイデアで(彼らだけのアイデアではないですが)ビジネスにして、世の中を変革していく。
それに比べて、日本のコンピュータ企業の存在感のなさはどうでしょう。そんなに技術力に差はないし、ものづくりでは圧倒的にアドバンテージは有ったはずなのに、ビジネスの結果では全く問題になりません。
いまだに、スーパーコンピューター開発にこだわっている、日本の学者やコンピュータ企業のトップを見ていると哀れですね。この人たちには、仮想化やクラウドの本当のすごさがわからないでしょう。単体のコンピュータの性能を極限まで上げても意味がないのです。実用上のスループットを上げるためには、ネットワーク上でパフォーマンスを上げること、そのためには分散処理で効率よく処理するテクノロジーが重要です。米国企業は、アイデアありきで、今のある技術力を上手く生かしてお金が儲かるビジネスをします。ますます、日米の差は開いてしまうのかな。

ラクルに吸収されたSUNが、今後どうなるかわかりませんが、きっとこれからも技術者魂を継続して、地味ながらIT基盤を支えるメーカーとして存在してくれるでしょう。

SUNよ、永遠に!!!